資本金と機関設計

資本金と機関設計

会社法施行により、資本金は1円でも株式会社を設立できるようになりました。
しかし、安易に資本金を1円で設立すれば、設立当初から債務超過の株式会社となってしまいます。会社が軌道に乗るまでは資本金を運転資金にすることになるので、最低でも開業時の諸経費及び半年程度の運転資金ぐらいを目安に資本金を定めると良いでしょう。
また、資本金を1,000万円未満で設立した会社は、最初の2年間消費税の納税が免除されます。

会社設立時の出資割合

出資者が2名以上の場合は、出資者それぞれの出資額を定める必要があります。この出資割合によって、会社の経営権や税金面に影響が生じますので考慮が必要です。
経営権を握りたい場合には、最低でも50%以上の株式、完全に会社を自分の意のままに運営していきたい場合には、3分の2以上の株式を持つことが必要となります。しかし、経営権確保のために、株式の90%以上を親族同士で持ち合ったり、役員の過半数を親族にした場合、税務上、特殊支配同族会社とみなされ て、法人成りによる節税メリットが消滅してしまうこともあります。

※税金のことを詳しくご相談されたい方には、当事務所が提携している税理士をご紹介することも可能です。

会社設立時の機関設計

株式会社は、「非公開会社」と「公開会社」の2種類に分けられます。(「会社設立の方法」ページ参照)

非公開会社
  • 取締役会を置かなくても良い
  • 取締役が1人以上いれば良い
  • 役員の任期を10年まで延長可能
公開会社
  • 取締役会を必ず設置する
  • 取締役は3名以上、監査役(又は会計参与)が1名以上必要
  • 役員の任期は2年

非公開会社の機関設計のポイント

非公開会社の場合、会社法の規制が緩く定款自治が広く認められているため、会社設立をする際には、設立後の経営実態及び経営方針等を考慮して、定款で機関設計等を定める必要があります。

取締役会を設置するかどうか

取締役会を設置しない場合、会社における重要事項の決定をすべて株主総会で行なうことになります。株主がそのまま取締役になる会社の場合などは取締役会を設置する必要性は低いと思われます。
しかし、経営には参加しない出資者がいる場合、株主数が多い場合などは、取締役会に業務の決定や執行を任せた方が、機動的な会社運営が可能となるでしょう。

役員の任期

非公開会社では、定款で役員の任期を10年とすることが可能です。役員変更登記の費用や手間が省け、効率的な経営が可能となります。
ただし、任期の満了前に会社の都合で役員を解任するような場合には、残存任期に応じた損害賠償請求を受けるおそれもあります。

これらはあくまでも一般的な判断基準のため、会社設立時の機関設計については、専門家(司法書士など)にご相談することをお勧めいたします。