取締役会の廃止

取締役会の廃止

取締役会の廃止

会社法の施行後は、株式会社でも株式の譲渡制限規定があれば、取締役会を置かなくてもよくなりました。現在、登記上取締役会を置いている会社で実際は取締役会など開催していないといった株式会社は、取締役会の廃止を検討されてみてはいかがでしょうか。

取締役会廃止のメリット・注意点

名目取締役・名目監査役を廃止できる

会社法の改正前は、株式会社には必ず取締役を3名以上、監査役1名以上を置き、さらに取締役会を設置する必要がありました。そのため、実態は社長一人が会 社を経営していても、「株式会社」とするために、家族、親兄弟、友人等の名前を借りて取締役や監査役としている中小企業が多く見られます。 
しかし、名前を借りているとはいっても法律上は正式な取締役や監査役とみなされるため、会社にトラブルが生じた際には、取締役や監査役として、その役員達に損害賠償の責任が生じてしまう恐れもあるのです。
会社法施行後の現在では、取締役会を廃止し、取締役1名のみの会社や、監査役を置かない会社など自由な役員構成の株式会社に変更できる(株式譲渡制限会社のみ)ため、会社の経営実態に合わせ、名前を借りているだけの取締役・監査役は廃止し、彼らを損害賠償リスクから開放してあげることができます。

コンプライアンスにつながる

会社法上、取締役会を置いている会社では、株主総会を招集するには2週間前に書面で通知し、かつ定時株主総会の場合には計算書類や監査報告書を添付しなければならないなど、厳格な招集手続をとることが義務付けられています。
しかし、実態は社長一人が会社を経営している会社や、取締役と株主が同じ株式会社などでは、このような招集手続はとらないことの方が多いでしょう。厳密 に言えば、これらは会社法違反となってしまうのです。会社法違反だからといってすぐにトラブルが生じることは少ないと思いますが、取締役会を廃止した会社 であれば、口頭で株主総会を招集することもでき、計算書類や監査報告書を添付する必要もなくなるのです。
登記は実態を正確に反映する方が望ましいものです。実際に取締役会を開催していない会社であれば、取締役を廃止してしまった方が、会社法違反もなくなり、将来的な取引先からの信頼につながるかもしれません。

注意点

取締役会を廃止した場合、会社の重要事項の決定は株主総会で決定されることになります。その会社に外部株主がいる場合には、その外部株主の意向も経営に反 映されることになりますので、場合によっては、会社の意思決定が遅滞し、結果として円滑な経営が妨げられることなども起こりえますので注意が必要です。

取締役会の廃止に伴う手続き

取締役会の廃止を行う場合、既存の定款を大きく変更する必要が生じます。取締役会に関する規定はすべて削除し、またそれに伴い変更しなくてはならない規定もあるからです。
取締役会の廃止と同時に変更しなければならない登記事項もあります。例え ば、「株式の譲渡制限に関する規定」という項目の株式譲渡承認機関を、取締役会から株主総会や代表取締役などに変更しなければ取締役会の廃止はできませ ん。また、取締役の人数を減らすなら役員変更登記、監査役を置かなくするのなら監査役廃止登記を同時に申請しなければならないなど、取締役会の廃止には専 門的な知識が必要となります。
播司法書士事務所では、御社の経営実態、今後の構想などをお伺いし、御社に最適な会社の機関設計をご案内し、定款変更や各種変更登記などのサポートを行い、ご依頼者の手続き負担を最小限に抑えます。

取締役会の廃止の費用

取締役会の廃止は、上記のとおり各会社の実態や変更後の機関設計によって手続きが異なります。取締役3人、監査役1人の取締役会設置会社(資本金1億円以下)において、取締役会を廃止し、取締役が1人のみとなる一般的なケースの費用は下記のとおりですが、御社の相談内容によっては手続きや費用が下記と異なってまいります点はご了承ください。
なお、登記費用は事前お見積りいたしますので、お気軽にご相談ください。

一般的な取締役会の廃止の場合

登記費用総額は、131,395円(税込)です。

  司法書士報酬 登録免許税
印紙代
取締役会の廃止、役員変更、株式の譲渡制限規定の変更、監査役の廃止登記 58,000 70,000
登記完了後内容確認(会社謄本1通取得) 1,000 500
郵送料(法務局申請+お客様への発送) 1,000  
小計 60,000 70,500
消費税 6,000
源泉所得税(10.21%) △5,105
合計 131,395
  • 上記費用は事務所所定の標準的な定款を作成した場合の一般的なケースです。定款内容をオーダーメイドする場合や、登記内容によっては登記費用が異なる場合もございますので、お気軽にご相談ください。
  • 取締役会の廃止に伴い、「役員変更」、「株式の譲渡制限規定の変更」、「監査役の廃止」の3件の登記申請を同時に申請することになります。
  • 登記に必要な定款・議事録等の書類作成、登記申請も当事務所が行いますので、お客様が法務局へ足を運ぶ必要はありません。

※出張サービスをする場合、上記費用に別途交通費等が必要となる場合がございます。

取締役会の廃止登記の必要書類

初めてご依頼いただくお客様には下記のものをご準備いただいております。

  • 履歴事項全部証明書(会社謄本)
  • 定款(お手元にあればお願いいたします)
  • ご依頼者(ご担当者)の身分証明書(運転免許証等)

※ご依頼の際、ご来所いただけない場合は、出張サービスや郵送によるご依頼も可能です。お気軽にご相談ください。

取締役会の廃止登記後のご返却書類

取締役会の廃止登記完了後、お客様には下記のものをお渡ししております。

  • 定款(取締役会廃止後のもの) 1通
  • 会社控用議事録 各1通
  • 登記完了後の履歴事項全部証明書(会社謄本)1通

※上記ご返却書類は、通常、登記完了後にご依頼者様宛にご郵送させていただいておりますので、お受け取りにご来所いただく必要はありません。